新型コロナウイルス騒動に伴うマスクの転売で、転売屋は四方八方からボロクソに叩かれています。
まあ、今回は騒動に乗じて儲けようとしている点で倫理的な問題はありますが、とは言え、転売がそこまで悪い行為かというと、そうでもないんじゃないかと思います。
そもそも、転売行為そのものを法律で禁止するのは不可能です。
そんなことをしてしまうと、小売業全般がアウトになりますし、株取引なんかも転売そのものですから、これもアウトになり、社会が成り立たなくなります。
それでも何かしら法律で規制するとしたら、転売は禁止だが、違法にはならない大量の例外を設定するか、もしくは、転売は合法だが、ごく限られた特定の場合だけ違法にするかでしょう。
前者は運用が難しいので、現実的には後者になると思いますが、実際に2019年6月にイベント等のチケットの転売(ダフ屋行為)が禁止になりました。
こんな感じでその時に話題になっているものを、世論に流されて場当たり的に規制するしかないでしょうね。
これからも転売で儲けるネタなんて、いくらでも出てくるでしょうから、これで転売を未然に防ぐことなんてできないですけど。
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また、そもそも転売行為が本当に悪いのかも疑問です。
転売屋を非難する典型的な文言で「欲しい人が買えない」というのがありますが、これに対しては「じゃあ転売屋から買えば?」で終わってしまいます。
これではつまらないので、もう少し突っ込んでいきますが、転売屋が値段を釣り上げてもポンポン売れるようなものを、転売屋が介入せず定価で売れば全員に行き渡ると本気で思っているのでしょうか?
実際は大勢で取り合いになるので、欲しくても買えない人は普通に出ます。
こういう大勢で取り合いになるものは、需要と供給のバランスが崩れているので、通常はこれを正す力が生じます。
需要に対して供給が少ないなら、生産量を増やして供給を上げるか、値段を上げて需要を下げるかしかありません。
生産量を増やすのは、生産者からしたら在庫リスクがあるので安易にやりたくはないと思うので、値段を上げるほうがやりやすいとは思いますが、チケットや、今回のマスク騒動を見ても、生産者が需要に合わせて値段を上げる様子はほとんど見られません。
おそらく、値段を上げることに対する批判を恐れて、できないんだろうなとは思いますが、転売屋はこの生産者がやらないことを引き受けているとも考えられるんですよね。
そして、需要に合わせて値段を上げた結果、高い金額を払ってまで欲しくないという人は消え、それでも欲しい、必要だという人に商品が行き渡ると。
定価よりも高い値段を不当だと言う人もいますが、その値段で普通に売れるなら、少なくとも定価よりは適正価格に近い値段で売っていると言えます。
以上を今回のマスク転売に当てはめると、現状マスクの需要は供給を大きく上回っており、供給がなかなか追いつかない状況です。
この場合、マスクの値段を上げて需要を調節するのが自然ですが、小売店やメーカーがそのようなことをしないせいで、マスクは常に品薄状態です。
これでは朝から店に並べる暇人しかマスクを買えませんし、おそらく彼らは使い切れるはずもない量のマスクを自宅で死蔵するだけです。
そこで転売屋の出番で、彼らは何とかして手に入れたマスクを適正価格に近い値段で売ることで、不要なのに買おうとする人たちを追い払い、本当に欲しい人たちが買える機会を増やしているわけです。
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とまあ、こんな感じで転売屋擁護の論調で語っている私ですが、実際に私が欲しいものが転売屋に買い占められ、高額で売られていたら普通にブチギレると思います。
これはスーパーに特売品を買いに行ったら売り切れていたときの気分と同じで、安く買えたかもしれないチャンス(実際はそんなチャンスはほぼない)を潰されたら不愉快な気分になるのは、人の感情としてはよくあることです。
しかし、これは個人的な感情で、客観的な事実とは関係ありません。
したがって、私がいくら転売屋にキレ散らかそうが、上で書いたことの正当性にはなんら影響はないのです。
ちなみに、私は自分で転売をしようとは思わないです。
なぜなら、確実に儲けるなら希少性の高いものを転売する必要がありますが、希少性の高いものはそもそも入手が難しいですし、それ以外のものだと不良在庫になるリスクが高いですから。
特に、今回のマスクのような、希少価値もなく単にブームで売れているものは引き際が難しく、不良在庫リスクが高いと思います。
しばらくすれば、マスクを買いすぎて死蔵してる人たちがバーゲンセールでマスクを売り出すかもしれませんね。
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