正しいリスクの取り方(その1)


行動経済学者のダニエル・カーネマンが提唱したプロスペクト理論によると、人はリスクを取るときに、無意識的に損失を回避しようとする傾向があるらしい。

この損失回避性によって、人は期待値を無視した不合理な選択しがちである。つまり、この傾向を理解すれば、正しいリスクの取り方を実践できるようになれる…かもしれない。



四分割パターン

プロスペクト理論の業績の一つに、人のリスクの取り方の傾向を示した「四分割パターン」というものがある。

四分割パターン
出典:『ファスト&スロー(下)』


これら4つのリスクの取り方は、どれも損失を回避しようとしての行動であるが、どれも期待値的には不利であることが多い。

人はどうしても無意識的にこのようなリスクの取り方を選択しがちなので、意識的にこの逆をやれば、合理的なリスクの取り方をできるようになる。

宝くじを買う人

まず左下の、低い確率で利得が得られる場合は、例えば宝くじを買う心理が当てはまる。

宝くじは、当たる確率はかなり低いが、でもゼロではない。したがって、人は少しでも可能性があるなら買わないと”損”だと思って宝くじを買ってしまう。

当然、宝くじは期待値的にかなり不利なので、こういう場合には宝くじを買わない(リスクを取らない)のが合理的である。

飛行機事故を怖がる人

次に、右下の低い確率で損失を被る場合は、例えば飛行機事故を怖がる人や、やたら保険に入りたがる人の心理に相当する。

飛行機事故を怖がるのも、やたら保険に入るのも、どちらもすごく低い確率で起こる大きな損失を恐れての行動だ。可能性がゼロでないだけで、人はすごく損失を恐れるようになる。

でも、本当に低い確率なので、こういう行動をとっても、無駄に不便な思いをしたり、余計なコストがかかるだけだ。こういうことは気にしない(リスクを取る)ほうが合理的である。

投資やギャンブルで負ける人

最後に、左上と右上は投資やギャンブルにおいて結構重要になってくる。

今回はこの辺にして、これについては次回に書こうと思う。


続き↓
正しいリスクの取り方(その2)

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