一言で言うと、PC操作の「抽象化」ができていないということだ。
どういうことか。
ここでは、私が出会った中で最もPCオンチだったYさんを例に挙げてみよう。Yさんは50代女性である。
YさんはIT全般が壊滅的に苦手であるが、その中でもいろいろな操作ができるPCが特に苦手のようだった。
YさんのPCの使い方の特徴は、「個々の操作の手順を全て覚えようとする」ことである。
例えば、ワードを開くときは、「スタート」を押して、「〇〇にあるアイコンをクリック」という操作の手順を覚えようとするし、コピー&ペーストするときは、「右クリック」して「コピー」を押した後、また「右クリック」して「貼り付け」を押すという操作の手順を覚えようとする。
PCを普通に使える人からすると、これらの操作は別にワードだけでなく、ほぼ全てにおいて共通であり、また、一連の操作の流れの意味も分かっているから、一々個別の操作を覚える必要はない。
したがって、意識的に「ここで右クリックして…」みたいなことを考えることはない。
しかし、Yさんからしたらこういう発想はなく、彼女の中では全ての操作が”独立”して存在している。
彼女にとって、ワードでコピペするのとエクセルでコピペするのは、完全に別ことなのだ。
これだと、PCを普通に使えるようにするには、全てのPC操作を丸暗記する必要がある。しかし、こんなことするには無限の記憶容量が必要なので無理だ。
そして、何より問題なのは、これでは全く応用が利かない。
普段と別のことをするなら、また一から操作を覚えようとするし、自分で調べることもできないから、他人に聞かないといけない。
これではあまりに効率が悪いので、Yさんにもう少し一般的なPC操作から学んだ方がいいとやんわり言ったことがあるが、残念ながらピンと来ていないようだった。
彼女には「個々の操作」という具体的なものしか見えておらず、「一般的なPC操作」という抽象概念は理解できないようである。
この程度の抽象化もできないとか本当に人間なのか!?、ホモサピエンスなのか!?と最初は驚愕したが、こういう人もいるのである。
Yさんはかなり程度のひどいほうだったが、PCオンチの人は程度の差こそあれ、こういう特徴を持っているんじゃないだろうか。
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