派遣は現代の奴隷制度

「派遣社員は奴隷と同じだ!」という主張をよく見かける。

確かに、派遣社員は待遇も安定性も低く、場合によっては労働環境も劣悪だったりする。

「嫌なら辞めればいい」という意見はまあその通りなのだが、それでもなかなか仕事が見つからず、派遣労働に頼らざるを得ない人もたくさんいるわけで、正に現代の奴隷制度とも言える状態だ。




派遣社員は、同じ非正規雇用でもパート・アルバイトとは違い、雇用主と就業先が違う。

雇用主は派遣会社であり、就業先は派遣先の会社である。

雇用契約は派遣会社と結んでいるので、給料は派遣会社から支払われる。

給料の源泉は派遣先の会社が支払う料金だが、ここからいろいろと経費を差し引いたものが給料として支払われる。

この経費の割合(マージン率)は、平均で30%程度らしい。

この、労働者を派遣してその労働の対価として支払われたお金から「中抜き」して儲けるという仕組みが、「派遣は奴隷制度」「派遣会社は奴隷商人」と言われる理由である。

そして、この仕組みが派遣社員の待遇を悪くしている。

派遣社員の時給は、一般的にパート・アルバイトよりも高いと言われているが、これは採用コストが低いのと、基本的に即戦力(実際はただの単純労働も多い)なので、社員の教育コストがかからないためである。

つまり、派遣先の会社は派遣社員を自社で教育するつもりがないので、悪く言えば、短期の使い捨て人間である。

この点に関しては、自社で直接雇用して、ある程度の教育もするパート・アルバイトのほうが、まだ長期での雇用を想定している分マシと言える。

もちろん、派遣社員が正社員、パート・アルバイトに必ずしも劣るというわけではないが、派遣に向いているのは最初から期間限定で働ければいいという人だけで、少なくとも長期でメインの収入源として頼るには不向きな形態である。

まあ、仕事内容も働く場所も他人(派遣会社)に任せていたら、そりゃ都合よく使われるよねって話である。


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