私の最終学歴は、旧帝大の理系大学院(修士)卒だ。
一応、私がどういう立場から発言しているかを先に示しておく。
90年代から行われた「大学院重点化」によって、大学院の定員は大幅に増加した。
そのせいで、特に理系の学生の大半が、大学卒業後、大学院修士課程へと進学する。
しかし、ほとんどの学生は研究者を目指しているわけではなく、企業へ就職するのが一般的だ。
また、企業の募集要項では、応募条件は大卒以上が普通だ。
それなのに、就職を目指す学生が大学院に進む意味はあるのだろうか。
大学院で何をするかと言うと、基本的には研究をする。
研究と言っても、卒業研究の延長のようなことをするのがほとんどだ。
修士課程の修業年限は2年だが、この2年で大卒と比べて大きく変わるかと言われたら、そうは思わない。
修士に行ったところで、大して専門知識が身に付くわけでもない。
そもそも、そういうカリキュラムになっていないし、専門知識がなくても卒業できる。
正直なところ、修士は学部と変わらずヌルいと思う。
だって、ぬるくないと卒業できない人が大量発生するから。
よく就活の場で、「やっぱり大学生と大学院生は違う」みたいなことを聞くが、これはただ単純に大学院生のほうが2歳年上だから、その違いが出ているだけだ。
たぶん同じ年齢なら、大卒で入社して2年経過した人のほうが、大学院で2年過ごした人よりもしっかりしてると思う。
また当然だが、大学院に行けばお金がかかる。
学費は、国公立だと2年で100万円強だ。
大学院卒だと、初任給が大卒より2万円ほど高いというメリットもあるが、学費と2年間もらえたはずの給料を考えたら割に合わないだろう。
おそらくほとんどの会社で、大卒と大学院卒の違いは初任給だけだ。
昇進、昇給に違いがあるわけでもない。
だったら経済的には大卒で就職するのがいい。
ちなみに、私が大学院に進学した理由は、「周りがみんな進学するから」だった。
みんなの中に、なんとなく理系は院卒じゃないと就職が難しいみたいな風潮があった。
だが、大卒でも就職する人は普通に就職していた。
それも大企業に。
・・・
大学院重点化は失策だったと言われている。
結局のところ、得したのは大学院生の数が増えた大学だけだった。
特に、博士課程に進学した学生の悲惨さは、もうかなり世に知れ渡っている。
もし、就職か大学院進学で迷っている学生がいたら、以下のようにアドバイスしたい。
まずは、大卒での就職を第一に考えて就活をしよう。
それに加えて、大学院入試の受験もする。
もし就活に失敗したら、そのまま大学院に進学する。
そうすれば、次の就活でまた新卒カードを使える。
日本の就活において、新卒カードはまだまだ有効だと思う。
それが2回使えるなら、大学院に進学するのもいいのかもしれない。
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