保育士の給与が低い理由


なぜ低い?保育士の給料 「あと10万円は増えないと」:朝日新聞デジタル

昨年、ホリエモンこと堀江貴文氏の「誰でもできる仕事だから」発言で一時話題になりましたが、保育士の給与が仕事のキツさの割に低いのは有名です。

「誰でもできる」というのは、職に就くための敷居の低さという意味ではその通りであり、そういう職種は希少性の低さから低賃金になりやすいです。

それに加えて、「保育」という事業自体が非常に利益を出しにくいのも、低賃金に拍車をかけています。


利益以上の給与は払えない

基本的に、会社は稼いだ利益以上の額を人件費に払えません。

月20万円の利益を出している従業員に、月30万円の給与は普通払いません。そんなことしてたら経営が成り立ちませんから。

そして、これはその仕事が社会にとって必要かどうかは関係ないんですよね。

社会に必要だと言われている保育士の月給は約23万円で、全業種平均より約10万円低いです。

これは、経営者が搾取しているわけではなくて、単純に利益が少ないからです。

一方、社会に必要かどうかよく分からない金融トレーダーのような仕事は高給で有名です。なぜなら、彼らは1人で何億というレベルで利益を出したりするからです。

経営者の取り分の多さという意味では、金融トレーダーのほうがよっぽど搾取されてるんじゃないでしょうか。


保育所の経営状況

独立行政法人福祉医療機構が、毎年保育所の経営状況のデータを公表しています。
平成28年度 保育所および認定こども園の経営分析参考指標

この資料によると、保育所の従業員1人当たりの収益は年間約541万円で、そこから人件費以外の経費を引いた、従業員1人当たりの付加価値額(労働生産性)は約424万円です。

そして、そこから約386万円が1人当たりの人件費として支払われています。

収益に占める人件費の割合(人件費率)は71.4%で、付加価値額に占める人件費の割合(労働分配率)は91.1%にも上ります。

これは他業種と比べてもかなり高く、利益のほとんどを人件費に使っている状態です。

参考データ:
労働分配率の計算方法|業種別の平均データ

給与を低く抑えてるわけでもなく、むしろもう上げ幅がないくらい限界まで支払って年収368万円という業界なんですよね。

こんなことになっているのは、労働生産性が低い、つまり保育所の利益の割に保育士の数が多いからです。

労働生産性向上のためには、保育料を上げる、税金を投入する、保育士を減らす(効率化)などが考えられますが、この辺は法律とか、税金の使い道の話になっていろいろ難しそうなので、これ以上は触れないでおきます。


まあ率直な感想を述べると、仕事で給与を重視するのなら、保育士は真っ先に候補から外すべき職業ですな。


1 件のコメント :

  1. 企業に保育所を義務つけて、親が持ち回りでただで面倒見たらいいんじゃない?

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